E-liott
26-05-07 07:57

The Only One2 vol.13

映画『SAKAMOTO DAYS』は集大成 福田雄一監督インタビュー(前編)

FANTASTICSのボーカル、俳優として活動する八木勇征。圧倒的なビジュアルと透明感のある演技に定評のある彼が、イメージとは真逆の「殺し屋」に挑んだ実写映画『SAKAMOTO DAYS』が全国公開中。本作の監督・脚本を手掛けるのは、2017~18年の映画『銀魂』シリーズ、18・20年の『今日から俺は!!』などを生み出したヒットメーカー・福田雄一だ。インタビュー前編では、「現時点で集大成」だという本作に込めた思い、八木との出会いについて聞いた。

今だからこそ実写化に踏み込めた
 人気マンガ『SAKAMOTO DAYS』(原作:鈴木佑斗[集英社])実写化のお話をいただいたのは、今から少し前の話です。原作を読んだ松橋(真三)プロデューサーが、「この作品を実写化できるのは、福田(雄一)さんしかいない」と思ってくださって、たくさんの方のお力添えがありこの作品がスタートしました。“元殺し屋”という点をのぞけば、妻の尻に敷かれる主人公・坂本太郎の気持ちが分かるのは僕しかいない、と思ったんだそうです(笑)。

 もともと僕はヒーローものが大好きで、いつか日本でもマーベル作品のような本格的なヒーロー映画を作ることができればいいなと考えていて。『SAKAMOTO DAYS』ならそれがかなえられると思ったんです。でも、そのためには、本格的なアクションと最新のVFX(視覚効果)が必要でした。さらに、原作の単行本がまだ2巻しか出ていなかったことから、「映画化できるサイズになるまで、もう少し待とうか」と言っているうちに、新型コロナウイルス禍へ突入したんです。

 今思うと、当時すぐに撮影へ踏み切っていれば、この規模の作品を作ることはできなかったと思います。ときを経て、CGやVFXもかなり進化し、僕も『アンダーニンジャ』(2025年)で様々な撮影方法の段取りをつかんだ今だからこそ、「『SAKAMOTO DAYS』を実写化できる」という確信を持つことができた。特に、アクションとキャラクターデザインに関して、この作品は僕にとっての集大成と言えると思います。

主人公・坂本太郎を演じた目黒蓮(Snow Man)を筆頭に、キャストたちの切れのあるアクションが大きな見どころに。さらに、そこに最新技術が加わり、壮大なエンタテインメント作品に仕上がっている。

 八木勇征が演じた、殺連直属の特務部隊「ORDER」の一員・神々廻(ししば)はネイルハンマーを武器としており、近距離戦を得意とする。初の本格的なアクション、金髪の長髪にツリ目という新しいビジュアルと挑戦の多い役どころだ。福田監督は、人気マンガの実写化だけにビジュアルはかなりこだわったと語る。

 目黒くんは、ふくよかな坂本とスマートな坂本、両方のアクションを完璧にこなされていたので、それに触発されたのかどのキャストもみんな本気でアクションに取り組んでくださいました。最も大変だったのは、朝倉シンを演じた(高橋)文哉くんでしたが、みるみるうちにアクションが上達していって。勇征くんのアクションも完璧でカッコよかった! 原作では、鹿島(塩野瑛久)と神々廻が戦うシーンはないのですが、どうしても2人の戦う姿が見てみたいと思い、特別に追加してしまったくらいです。

 俳優さんはどこかボクサーのようなもので、そろそろ仕上げないといけないという段階になると急に成長されるんです。そして、カメラの前に立つと、さらに完成度が上がる。この作品では、その変貌ぶりを随所で目にすることができました。

完璧なビジュアルに吹き込む命
 『銀魂』シリーズ(17~18年)をはじめ、様々な人気マンガの実写化を経験してきましたが、完璧にしなければいけないのはキャラクタービジュアル。本作でも、クランクインの前日まで、しつこくチェックをして、何度も微調整を重ねていきました。特に、髪形はこだわったポイントです。

 勇征くんの演じた神々廻のウィッグも完成までかなりの時間がかかりました。ヘアメークさんには申し訳ないことをしましたが(笑)、そこだけは妥協したくなくて。ツリ目に見せるため、ウィッグの下で目をつるなど、いろいろな工夫を施しました。

 ビジュアルに関しては、目黒くんもすごく褒めてくれたんです。「監督は美的センスがすごいです。完璧だと思います」と言ってくれて。褒められることは苦手なので、どう反応していいのか分からなかったけど(笑)、すごくうれしかったです。でも、クランクイン後からはすべて役者さんのものだと思っているので、そこからは基本的にお任せしています。原作はもちろん大事ですが、撮影が始まってからは役者さんの芝居や役作りを尊重します。そうでなければ、実写化をする意味がないのではないかとも思っています。

八木が幾度となく、憧れの存在として名前を挙げてきたのが福田監督。八木にとって、福田監督作品に出演することは夢であり目標の1つだった。さらに、本作への出演はオーディションではなく、監督からのオファー。監督の心を動かしたポイントはどこにあったのだろうか。出会いは、24年11月にさかのぼる。

 勇征くんと初めて会ったのは、24年11月にJO1のライブに見学へ行ったときでした。僕の目の前までダッシュで走ってきて、「福田監督が僕のヒーローです!」とだけ言って、去っていったんです。そこで「彼は誰だ?」と(笑)。

 当時、ちょうど目黒くんが坂本役に決まったくらいのタイミングで、あとのキャスティングはまだ何も決まっておらずで。ちょうど当時の勇征くんは金髪で前髪をセンターで分けていたヘアスタイルをしたのですが、それがまさに神々廻のビジュアルに重なったんです。僕の中で、神々廻は色気のあるカッコいい俳優さんにやってほしいというイメージがあって。なおかつ、声のいい人がいいなと思っていたので、すぐに松橋さんへ「神々廻がいました」と伝えました。

 本来であれば、ここからはプロデューサーの仕事なので、監督は介入しません。でも、今だから言える話なのですが、JO1の河野(純喜)くんから勇征くんの連絡先を聞いて、僕から直接オファーの相談をしてしまったんです。もう僕の中で、神々廻は勇征くんのイメージで固まってしまっていたし、キャスティングはタイミングが命なので、いてもたってもいられなくて……。

 そうしたら、ちょうど勇征くんは番組のロケ中だったみたいで、「すみません、頭の整理が追いつかなくて……少し待っていただけませんか」という返事がありました。そうして10分後に、「絶対にやりたいです!」と返ってきた。あとから聞いてみると、突然の僕からの連絡に、訳が分からなくなり混乱していたようです(笑)。そしてその後、松橋さんが神々廻のキャスティングのオファーをしようとしているときに、さりげなく「どうやら勇征くんがやりたいらしい」と耳打ちをして、神々廻役が決まりました。

「福田監督は僕のヒーローです」
 衣装合わせのあと、2人で焼き肉を食べに行ったことがあって。そのときに、勇征くんがなぜ僕をヒーローだと言ってくれていたのか、その胸の内を話してくれたんです。勇征くんが学生の頃、たまたまテレビから流れてきた『勇者ヨシヒコ』をお母さんと一緒に見る機会があったんだそうで。そこで放送後に「面白かったね」と久しぶりに会話が生まれたのだとか。その次の週の放送が来るまで、どこが面白かったかを毎日語り合うようになり、それをきっかけに家族の時間が増え、仲が深まったのだと言っていました。

 そんな話をしてくれた食事会の帰り、勇征くんがお母さんに「福田監督と焼き肉食べたよ」と電話で報告をしていたんです。お母さんと話してほしいと言ってくれたので、「勇征くんをお預かりします。絶対に見てください!」とお伝えしました。僕の横でうれしそうに目を輝かせていた勇征くんの姿を見ていると、僕の作品に向ける情熱や『SAKAMOTO DAYS』に参加することへの思いが伝わってきたし、その心意気がすごくうれしかった。そんな勇征くんに神々廻を任せて、本当によかったと思っています。

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发布于 陕西