更新!倒数第二章了所以一口气写了两千七_(:з)∠)_
心情复杂
『浅葱色のうたかた』
⑩
御陵衛士結成後、しばらくは後月輪東山陵の近くで、表向きの活動を始めた。
桜満開の季節、藤堂が五条坂を歩いていると、後ろから呼び声がした。
「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」
振り返ると、そこには7歳くらいの男の子がいた。
「新選組のお兄ちゃん!久しぶり!これ、あげる!」
渡されたのは、桜の枝だった。
「ああ、君か。なんでここに?それと……僕はもう新選組じゃないんだ。」
この子と出会ったのは、三ヶ月前のことだった。
真冬、誘いを断れず、新選組隊士と一緒に島原を訪れた。うんざりして酒席から離れて街中に出ると、急に一人の遊女が藤堂の前に現れ、「侍様、どうかお願いを聞いてください……私はもう長く生きられない病気にかかっていて……この子を何とか、どこかの家に預けていただけませんか?」と土下座した。
「ぼ、僕は……」
できない、と言いたいが。島原では、そんな病気で死んでいく遊女は珍しくない。しかしこの子は、どう見ても健康で、この季節を乗り越えられそうな顔をしている。
「これは私の全ての金です。侍様には足りないかもしれませんが、どうか、どうかこの子を助けてください……」
新八から聞いた話では、沖田は幼い頃父が死に、9歳の時母も病気だったため、母が近藤に頼んで沖田を試衛館に入門させたという。道場が女の子を受け入れることは元々難しかったが、近藤は何とか義父にお願いして、沖田を引き取った。
だから、似たような境遇が目の前に現れたとき、藤堂にはどうしても断れなかった。
影は、遊女の姿を見て自分の母を思い出した。あの人は自分に愛情を注いだのだろうか、それとも……それはわからない。ただ一つはっきりしているのは、自分の中にまだ無視できない情が残っているということだ。
もちろん新選組に連れ帰るわけにはいかない。藤堂は伊東の手伝いを通じて知り合った茶屋の老主人に、その子を託した。
そして今、その子から桜の枝を渡されたのだった。
「僕は、おじいちゃんに頼まれて買い物に来たんです。お兄ちゃんは仕事?」
「うん、仕事だ。この辺りは危ないから、買い物が終わったら早く帰りなよ。」
「うん!お兄ちゃんも!」
無事に生きているようで良かった。自分は善人じゃない、みんなを助けることなんてできない。でもせめて目の前の命だけは……
藤堂は子供と別れ、桜の枝を近くの田んぼに挿すと、手を合わせて一礼し、陵へと向かった。
それから一ヶ月後、藤堂は美濃国に出張し、御陵衛士の補充として農兵を招集し始めた。これはそう簡単な話ではないのに、御陵衛士からは、藤堂ひとりしか行っていなかった。しかし、これが伊東の頼みであって、藤堂も京に居たくないから好都合だった。
十月、伊東の手紙で京へ戻るよう催促され、藤堂が急ぎ帰隊すると、大政奉還が成立し、討幕の大義名分が失われ、長州藩勢力がまた京で騒動を起こし始めていた。藤堂もこの時初めて、伊東に同行し、土佐や長州の志士たちとの会談に参加した。
もう世間知らずの子供ではないから、藤堂は分かっている。伊東はあくまで慎重派を装い、勤王だけと言いながら討幕行動を表には出さず、裏で討幕派に協力する集団を作ったのだ。新選組の佐幕が間違っているなら、伊東の方が正しいはずだが、そうでもない気がする。どうやら伊東も立場が微妙な人間で、藤堂は同席した会談で、伊東が中岡慎太郎に頭を下げるのを何度も見ていた。
しかし元壬生狼である藤堂は、一部の志士に知られていたため、談話の席から外してもらいたいとよく言われていた。
伊東が藤堂を美濃国へ派遣した理由も、やっと分かった。
『僕がいると邪魔ですね。』
一度そう言われると、同じ人との面談に伊東は二度と藤堂を連れて行かなかった。代わりに、元々新選組だった時も表にはあまり出ない斎藤が同行することになった。
異変は十一月に起こった。京都見廻組と新選組が討幕藩士の取り締まりを強め、斎藤からの報告も頻繁になった。
「今日、河原町の茶屋が襲われました。志士二名と、店主含め全員、見廻組に殺されました。」
まさか…
「我々が情報拠点として使っている、あの老人の茶屋です。」
斎藤は報告した後、藤堂に深い意味を含んだ視線を送った。
あんたが預けた子も死んだ。と。
「そっか。分かった。我々も警戒を強めよう。近々、土佐と薩摩の方々にも報告する。」
伊東はあくまで討幕派の危機だと捉え、冷静に次の行動を決めた。たとえその店主が伊東と親交があったとしても、藤堂が子供を預けていたことを知っていたとしても。伊東は、感情がぶれない人間だと、藤堂はよく知っている。
そして次の面談で、長州藩から伊東に近藤暗殺の命令が出された。藤堂は同席していなかったから知らなかったが、その後、斎藤が行方不明になり、伊東は斎藤が新選組の間者だったことを藤堂に伝え、暗殺の件も話した。
「平助は、裏切らないでしょうね?信じているよ。」
「はい。御陵衛士藤堂平助は、伊東先生の命令に背くことは決してありません。」
「それが、近藤さんを暗殺することだとしても、やってくれる?」
「……」
「冗談だ。お前が行くと目立つからね。安心しろ、明日、私とまた中岡様と坂本様に会談だ。」
「承知いたしました。」
翌日、伊東と藤堂は、近江屋で中岡慎太郎と坂本龍馬に会談しに行った。しかし、坂本は不在で、中岡も伊東の忠告を大して気に留めなかった。そして当日夜、近江屋が襲われた。
「現場に落ちていた鞘は、新選組原田左之助の持ち物だと判明した。」
三日後、伊東はそう証言した。しかし、その同じ夜、伊東は近藤の誘いに乗り、一人で宴に赴いた。
「大変だ!伊東先生が新選組に殺された!油小路に!」
「新選組!許せない!なあ平助!お前も新選組を憎んでいるだろ!一緒に伊東先生の仇を討つんだ!」
「…もちろん、僕が切る。」
帰り道のない戦い。居場所がない心。周りに、仲間も、いない。
「平助!お前は逃げろ!」
久々に新八に会えて嬉しかった。でも。
「僕はもう逃げ道はない。新選組!死ね!」
藤堂の刀より早かったのは、新選組隊士の一撃だった。正面からの重い一撃で、藤堂はほぼ即死した。
「平助…!」
かつての仲間だった新八と左之助は、悲しそうな顔をしていた。その後すぐ、御陵衛士たちは新選組に殺された。
[僕がいてもいなくても変わらない。この時代はそういうもんだ。お前には分かったのか?]
影がマガツヒトノカミに浸食されたボロボロのサーヴァント藤堂平助の姿に戻り、目の前に立つ同じくボロボロの藤堂平助に質問した。
「ああ、分かった。おまえはずっと見ていただろ。自分の無様な姿を。」
[ええ、見えた。だからいろいろ分かった。さあ、帰ろうか。僕のいるべき地獄に。]
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