《海辺のカフカ》摘译49章(18)
「佐伯さんはここでなにを書いていたんですか?」と僕はたずねる。
“佐伯在这里写什么东西呢?”我问道。
「彼女はここでなにを書いていたのか、僕は知らない」と大島さんは言う。「ひとつだけ言えるのは、彼女はいろんな秘密を呑み込んだまま、この世界からいなくなってしまったということだ」
“她在这里写什么,我也不知道。”大岛说。“唯一可以说的是,她把所有的秘密都吞了下去,从这个世界上消失了。”
いろんな仮説を呑み込んだまま、と僕は心の中でつけ加える。
把所有的假设也吞下去。在我的心中再附加上。
窓は開けられ、6月の風が白いレースのカーテンの裾を静かに揺らせている。かすかに潮の匂いがする。海岸の砂の感触を手の中に思い出す。僕は机の前を離れ、大島さんのところに行って、その体を強く抱く。大島さんのすらりとした身体は、なにかひどく懐かしいものを思い出させる。大島さんは僕の髪を静かに撫でる。
打开窗户,6月的风吹动着白色的窗帘下摆。偶有海潮味道传来。让我回想起手中捧着海岸沙子的感觉。我离开桌前,走到大岛的地方,然后紧紧地抱住他的身体。大岛苗条的身体让我十分怀念。大岛静静地抚摸我的头发。
「世界はメタファーだ、田村カフカくん」と大島さんは僕の耳もとで言う。「でもね、僕にとっても君にとっても、この図書館だけはなんのメタファーでもない。この図書館はどこまで行っても――この図書館だ。僕と君のあいだで、それだけははっきりしておきたい」
“世界是隐喻的。田村卡夫卡。”大岛在我耳边说。“可是不管对你还是对我,只有这个图书馆一点隐喻也没有。这个图书馆无论走到哪里——也只有这个图书馆。在我和你之间,只想把它充分准备好。”
「もちろん」と僕は言う。
“当然了。”我说。
「とてもソリッドで、個別的で、とくべつな図書館だ。ほかのどんなものにも代用はできない」
“这是非常坚硬的、特殊的、特别的图书馆。其它别管什么东西是不可代用的。”
僕はうなずく。
我点头。
「さよなら、田村カフカくん」と大島さんは言う。
“再见。田村。”大岛说。
「さよなら、大島さん」と僕は言う。「そのネクタイはとても素敵だよ」
“再见。大岛。”我说。“那条领带非常美丽。”
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