日本文学bot
25-07-20 22:04

愛情21

 あんまり撫で廻すので
わがこいびとは
賓頭盧(びんづる)尊者のやうな
ずんべらぼうになりはてた。

 そのあやまちは、君にもある。
このやうな僕から逃げるのを忘れ
なが逗留をしすぎたのだ。

 その場かぎりのよいことや、
あてにもならない約束を
本氣にするのがいけなかった。

 いまになっては、目鼻もわからない。
僕の手垢で、黑光りして、
木切れ、石ころとかわりがない。

 さて、そうなってはすべもなく。
僕のほうから、逃げずばなるまい。

金子光晴「愛情21」
收录于詩集『愛情69』(1968)
筑摩書房

发布于 广东