愛情21
あんまり撫で廻すので
わがこいびとは
賓頭盧(びんづる)尊者のやうな
ずんべらぼうになりはてた。
そのあやまちは、君にもある。
このやうな僕から逃げるのを忘れ
なが逗留をしすぎたのだ。
その場かぎりのよいことや、
あてにもならない約束を
本氣にするのがいけなかった。
いまになっては、目鼻もわからない。
僕の手垢で、黑光りして、
木切れ、石ころとかわりがない。
さて、そうなってはすべもなく。
僕のほうから、逃げずばなるまい。
金子光晴「愛情21」
收录于詩集『愛情69』(1968)
筑摩書房
发布于 广东
