《海辺のカフカ》摘译47章(8)
太陽は中空をすぎて少したったころに彼女が僕の住居を訪れる。でもそれは少女としての佐伯さんではない。彼女は小さくノックをして、入り口のドアを開ける。一瞬僕は少女と彼女をうまく識別することができなくなる。光のあたりかたのかすかな変化で、あるいは風の吹き具合の変化で、ものごとは簡単に転換してしまうように思える。彼女は次の瞬間に少女になったり、また次の瞬間に佐伯さんに戻ったりするような気がする。しかしそんなことは起こらない。僕の前にいるのはあくまで佐伯さんであって、ほかの誰でもない。
太阳稍过中午的时候,她到访我的住所。可是她并不是少女模样的佐伯。她轻轻敲门之后,打开入门。在那一瞬间我不能很好地识别出是少女还是她佐伯。让我这样想,是因为阳光照射状态的稍微变化,或者是风吹的变化,物品就能简单地变化。看似:她在下一个瞬间变成少女,又在下一个瞬间恢复到佐伯。但是那样的事不会发生。在我面前存在的完全是佐伯,不是另外的谁。
「こんにちは」と佐伯さんは、とても自然な声で言う。まるで図書館の廊下ですれちがったときのように。彼女は紺色の長袖のブラウスに、やはり紺色の膝までのスカートをはいている。細い銀のネックレスと、耳に真珠の小さなピアス。見慣れたかっこうだ。彼女のヒールがポーチの板張りの床にこつこつという短く乾いた音をたてる。その音にはほんの少しだけ場所にそぐわない響きが含まれいる。
“你好。”佐伯用非常自然的声音说话。就像是在图书馆走廊碰面擦肩而过那样。她穿着藏蓝色长袖衬衫,还有藏蓝色到膝盖的裙子。细细的银色项链,耳朵上戴有珍珠耳环。看上去很舒服。她的鞋跟与走廊地板发出嘎吱嘎吱短脆的声音。那声音之中包含着一些在这种场合中不适应的声音。
佐伯さんは戸口に立ったまま、距離を置いて僕の姿を眺めている。僕がほんものの僕かどうかをたしかめるみたいに。でもそれはもちろんほんものの僕だ。彼女がほんものも佐伯さんであるのと同じように。
佐伯站在门口,保持一定的距离看着我的样子。像是在确定我是不是真正的我。可是当然了那是真正的我。同样,她也是真正的佐伯。
「中に入ってお茶を飲みませんか?」と僕は言う。
“不进来喝点茶吗?”我说。
「ありがとう」と佐伯さんは言う。そしてやっと決心したように部屋の中に足を踏み入れる。
“谢谢!”佐伯说。然后像终于下定决心那样走进房中。
僕は台所に行って電熱器のスイッチを入れ、お湯をわかす。そしてそのあいだに呼吸を整える。佐伯さんは食卓の椅子に座る。さっきまで少女が座っていたのとまったく同じ椅子に。
我到厨房打开电热器的开关,烧水。然后在这期间我调整了呼吸。佐伯坐到餐桌旁边的椅子上。和刚才那少女坐相同的椅子。
「こうしていると、まるで図書館にいるみたいだわ」
“这样的状态,简直就像是在图书馆那样。”
「そうですね」と僕は同意する。「コーヒーがなくて、大島さんがいないだけで」
“是的。”我同意。“虽然没有咖啡,大岛也不在。”
「そして本が一冊もないだけで」と佐伯さんは言う。
“而且连一本书也没有。”佐伯说。
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